――今回のプログラミングについてお話しください。
ロシア人が指揮するフランスのオーケストラが、ふたつの国の音楽の中で我々ができる最高のレパートリーを日本ツアーに持って行き、オーケストラの多様性を披露するのは自然なことです。ラヴェルのオーケストレーションによる「展覧会の絵」は奇跡とも言える作品です。ラヴェルは彼の心と魂をこの作品に注ぎ込み、ムソルグスキーのピアノ・スコアを極めて注意深く描き出し、一つ一つの絵を幻想的な楽器の音色で生き生きと表現しています。「展覧会の絵」を演奏する日(10日)のプログラムには、「牧神の午後への前奏曲」が入っています。この作品も音楽による物語性とオーケストレーション、楽器の色彩の傑作です。そして私たちは幸運にも、素晴らしいヴァイオリニストである諏訪内晶子さんと共演することになりました。彼女はまずトゥールーズでブラームスの協奏曲を我々と共演し、その後日本ツアーに臨みます。
2つ目のプログラム(12日)はグリンカとチャイコフスキーです。チャイコフスキーは同世代の「ロシア5人組」と比べて、間違いなく最も「ヨーロッパ的」な作曲家です。「ロシア5人組」がロシアの民俗主義からインスピレーションを得て、作品の中に民俗音楽の旋律や聖歌を使うことが多いのに対し、チャイコフスキーは常に感情が原動力となり、楽器は様々なキャラクターを表現するものとして使われます。例えば、私たちが2つ目のプログラムで演奏する交響曲第5番は、非常に静かに低音域のクラリネットで始まります。これは悲しみ、重々しさ、そして苦悩を感じさせます。
――現代の社会に生きて、「音楽」をやることについて日頃どのようなことを考えますか?
アーティストの責務は、自分のジャンルの芸術の真理を守り、表し、それを社会の一部にすることです。現在の私たちの周りの日常生活はあまりにアクティブで、物質的なものや政治、経済に依拠するものになってしまっています。私たちの仕事は、もっと生活を豊かにすることができるということを人々に示し、生活の様々な問題から開放されて、音楽、文学、彫刻、視覚芸術など、どんな芸術でもよいですから、それを通して夢を見る機会を人々に与えることです。
――オフの時間にはどのようなことをして「充電」していますか?
都会から離れて、田舎で過ごし、自然に触れるのが好きです。あるいは文学や哲学の本を長時間読みます。これは指揮という仕事に対するインスピレーションと刺激を与えてくれます。私が読んでいるものと、私の音楽生活の中で起こっていることが、偶然なのか必然なのかわかりませんが、呼応しあっているということがよくあります。
(2009年9月トゥールーズにて)
* このインタビューの全文は、公演時に会場で販売されるプログラムに掲載されます。
→ トゥガン・ソヒエフ ウィーン・フィル定期公演にデビュー!!
→ 続トゥガン・ソヒエフ / ウィーン・フィル・デビュー・現地レポート
|